知らないと損する!?大学生アルバイト「103万円の壁」
大学生活では、学業やサークル活動に加え、アルバイトをする学生も多いでしょう。
アルバイトをしていると「103万円の壁」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
昨今「103万円の壁」の撤廃が議論されていますが、大学生が押さえておきたいポイントについて説明していきます。
■103万円の壁とは
「103万円の壁」は、税金の基準となる金額のことで、アルバイト収入が年間103万円を超えると所得税が発生します。
収入から「基礎控除:48万円」と「給与所得控除:55万円」を引いた所得に対して、所得税が課税されます。
所得税は、課税所得の金額により5%~45%の税率になります。
例えば、1年間のアルバイト収入が123万円だった場合の所得税額は約1万円となります。
・所得金額:20万円 = 123万円(アルバイト収入)-103万円(基礎控除・給与所得控除)
・所得税額*:1万円 = 20万円 × 5%(所得税率)
*令和19年までは、基準所得税額の2.1%を復興特別所得税としてプラスして納付することとなります。
■勤労学生控除で「103万円の壁」が「130万円の壁」に!?
通常は1年間のアルバイト代が103万円を超えると、所得税の課税対象となりますが、大学生の場合は「勤労学生控除」を利用すると、アルバイト代130万円まで所得税が非課税になります。
高校生や大学生は対象となりますが、専修学校に通っている人は条件に合致している場合のみ対象となりますので、制度の活用を検討する場合は学校に問い合わせてみましょう。
<勤労学生控除の対象となる人の範囲(一部抜粋)>
イ 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
ロ 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校または各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
ハ 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
■勤労学生控除利用時の注意点
大学生は「勤労学生控除」を利用することで、所得税が発生する「103万円の壁」が130万円まで拡大されますが、注意点もあります。
親が子どもを扶養家族として申告していると、子どもの年齢が(その年の12月31日時点で)19歳以上23歳未満の学生の場合、63万円の扶養控除が受けられます。
*参照:No.1180 扶養控除@国税庁
子どもが扶養家族から外れると、扶養控除が利用できなくなり、親の所得税額は1年間で約3万円~28万円程度多くなります。子どものアルバイト代が103万円を少しだけ超えた場合は、親の所得税が増加して家族の総所得が減ってしまう事もあり得ます。
1年間のアルバイト収入が103万円を超える可能性がある場合は、事前にご両親に相談されるとよいでしょう。
■アルバイト収入が130万円を超えると
大学生のアルバイト収入が130万円を超えると「勤労学生控除」を利用しても所得税が発生すると共に、親の会社の社会保険(健康保険)の扶養に入っている人は扶養から外れることになります。
バイト先の従業員数や、労働時間、賃金などの要件により、自身で国民健康保険またはバイト先の社会保険(健康保険)の支払いをする必要があります。
「103万円の壁」は、大学生がアルバイトをする際に必ず意識するべきラインです。税金や社会保障は制度分かり辛かったり、制度改正があったりと、全てを完全に理解することは難しいかもしれません。
一方で制度を知っているか知っていないかで、金銭的に得をしたり損をしたりする事があります。情報収集をしたり、周囲の人と話をしたりして、理解を深めて将来的な資産形成につなげていきましょう。
資産形成アドバイザー 鈴木靖啓
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