「全てが経験と感じながら、挑戦を楽しむ」学生起業家 Ciamo(シアモ)はいかにして起業したか
「学生起業」ってちょっと憧れるけど、どうしたらいいのか分からないですよね。大学在学中に株式会社Ciamo(シアモ)を設立し、崇城大学の大学院に通う 古賀 碧さんと、同大応用微生物工学科4年生 後藤 みどりさんに、いかにして学生起業を成し遂げ、どのようなビジネスを展開しているのか。また、学生起業のメリットや実際の収益などリアルな話について伺いました。
目次
地方創生を目的として学生起業、大学院での研究を生かしたプロジェクト
ーCiamoのおふたりは、崇城大学の起業部に所属し経験を積まれてきましたが、入部以前から起業したいという思いはあったのでしょうか。初めて起業を意識した時から、実際起業するまでの経緯をお聞かせください。
起業部に入部してすぐは、地方創生を目的としてUNITというチーム名で「球磨焼酎リキュールの開発と販売」を行なっていました。
古賀の地元は人吉球磨地方であり、幼い頃から焼酎をつくることの苦労さと昔から続く伝統を身近に感じて育ってきました。「球磨焼酎」をもっと多くの人々に愛されてほしい、という思いで地元にある28の酒蔵を訪ね、球磨焼酎リキュール「ごくりくま」を開発し、販売を学部3年次に行いました。
このUNITでの活動を通して、球磨焼酎の蔵元には「焼酎粕の処理」という課題を知ることになりました。せっかく大学で研究しているのなら、研究者という武器を持って、蔵元の力になりたいと感じました。
現在は、その活動で学んだ課題や、大学院での研究を生かして、「球磨焼酎粕を使用した光合成細菌の培養キットの開発と販売」を行なっています。プロジェクトを通して、球磨焼酎粕の付加価値を高め、微生物の力で環境保全を行いながら安心安全な食の提供を目指すために、株式会社Ciamoを立ち上げ活動しています。
ビジネスプランコンテストの賞金を事業資金に
ー学生起業を考える学生にとって、一番気になるのが「実際どれくらいの収益をあげられるのか」ということです。ほかの学生起業した人の話を聞く中では「最初はアルバイトしながらだった」という話を聞くこともよくあります。実際に利益につなげていくことは非常に難しいと思いますが、実情はいかがでしょうか。資金調達の手段なども絡めてお聞かせください。
株式会社Ciamoを法人化する前の資金としては、ビジネスプランコンテストに出場し、その賞金から事業のための費用をまかなっていました。コンテストの賞金により、250万円程度の事業資金を得ました。
法人化する際は崇城大学のファンドより資金調達を行いました。その際、1期目から利益中心とした活動ではなく、まずは製造体制を整えることや、商品の価値を広めることを重視して計画を組みました。なので、1期目の売上は、出資していただく際に提示した目標金額はクリアすることができていますが、正直に回答しますと、それほど大きな金額ではありません。
また、事業を進めるに当たって研究開発が軸にあり、そこにお金がかかってしまいます。そのため、慣れない研究費の獲得をしながら、事業を進めた1年でした。
Ciamoは大学からの出資を受けて立ち上げていますが、Ciamoを立ち上げる前に活動していたUNIT(地方創生マーケティング事業)では、クラウドファンディングを実施して、2週間で300万円ほど運営資金を調達しました。行う事業によって、資金調達の方法も変わってくると思いますので、それぞれにあった資金調達のやり方を探してみてください。
学生起業で「自分が本当にやりたいことを見つけることができた」
ー社会に出てからではなく、学生のうちに起業するからこそ得られるメリットにはどのようなものがありますか?また、その中で実感したエピソードがあればご紹介ください。
学生時代に起業してよかったことは、”自分が本当にやりたいことを見つけることができた”ことです。起業したことで、普通の学生生活では体験できないことにチャレンジでき、自分が本当に成し遂げたいことを見つけることができました。様々なコンテストに出場したり、実際に起業したりする中で、辛い時、不安なこともありましたが、そんな時に逃げ出さなかったのは、人生をかけて成し遂げたいことがあったからだと思っています。
私の原動力は、地域をもっと明るく元気にしたいという思いです。現在、光合成細菌を様々な野菜や果物の栽培、クルマエビの養殖に利用しています。これらの安定生産に貢献することはもちろんなのですが、今後は生産物のブランディングも行いたいです。そして熊本や九州の素晴らしい魅力とともに、全国・世界に発信していきたいと考えています。
私たちは学生なので、失うものは何もありません。養う家族もいませんし、周りには仲間となる学生がたくさんいる環境です。ミスをしても、それは経験となり今後の人生に生かすことができると考えています。今後も挑戦を恐れず、夢に向かって進んでいきたいと思います。
「就職することが当たり前だと思っていた」起業部入部から変わった考え
ー起業を考える学生も、就職を考える学生も将来に対する不安を少なからず抱えています。現代社会における「学生起業」という選択肢が、どのような可能性を秘めているのか、見解をお聞かせください。
私自身大学に入学してすぐは、就職することが当たり前だと思っていました。しかし、崇城大学の起業部に入部してから、在学中に「起業」することはリスクの少ない環境での挑戦になる、と考えるようになりました。在学中に起業してうまくいけば、卒業後もその会社を続ければ良いですし、うまくいかなくても、その経験は必ず自らのチカラとなり就職や進学に生かされると思います。
実際、私の友人も就職して様々な企業に勤めていますが、1年も持たず転職する人やモチベーションなく仕事をする人、仕事の愚痴ばかり話す人など、抱えきれないほどの不満も抱きながら、日々仕事をしている人の話をよく耳にします。「起業」するということは、生半可な思いでは決してできません。軽い気持ちでする人が入れば、絶対に辞めておいた方がいいです。
私自身、心が折れそうになることもありますが、地元のため、生産者のため、仲間のためと、絶対に諦めたくない理由があります。いつの日か、こんな世界にするんだと熱い想いを胸に秘めながら、日々試行錯誤しながら活動しています。失敗もたくさんしてしまいますが、全てが経験と感じながら、挑戦を楽しんでいます。常に誰かのためという気持ちを忘れずに、幸せをもっと世界中に広げていきたいと思います。そんな起業家が増えてくれたら、もっと温かくて、幸せな世界になるかもしれませんね。
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今はまだ「起業=一部のすごい人がやること」というイメージが強いですね。実際は起業のハードルは一昔前に比べるとかなり下がっていると思います。古賀さんのようにもっとみんなが起業に興味を持てばより良い社会になるんじゃないかなと思います!
”起業部”という部活(?)があるというのが斬新で面白いなと思いました!
同じ企業部の中で他にも起業している方がいれば,どんなことを題材としているのか知りたいです!!