児童書専門書店の草分け|西原村の書店『竹とんぼ』選 大学生にぜひ読んでほしい7冊
Border Line編集部が関わった学生たちに「学生時代の最大の後悔」を聞くと「もっと読書をすれば良かった」の答えがダントツ。
そして、社会人になると仕事が忙しくなり、本を買う金銭的な余裕はあるものの、読書時間が足りないという状況に陥りやすいもの。
このときに読書習慣をつけようと思ってもなかなか身につかないものです。
ですから、大学生時代に本を読む習慣をつけておくことは、人生の大きな財産となります。
学生時代は社会人よりも自由な時間があります。
また、最近はコロナ禍でなかなか外出できません。こんなときに家でゆっくり読書するのもいいでしょう。
しかし、これまで本を読む習慣がなかった人にとっては、どんな本を読めばいいのか悩んでしまうものですよね?
そこで、今回は大学生に向けておすすめしたい本を紹介していきます。
ご紹介いただくのは、熊本県西原村小森にある“奇跡の本屋”と呼ばれる児童書専門書店『竹とんぼ』の店主 小宮楠緒(こみや なお)さんです。
目次
書店『竹とんぼ』と店主・小宮楠緒さんの紹介
楠緒さんは、トルストイ文学の翻訳者 北御門(きたみかど)二郎氏を父に、児童文学の翻訳者・編集者としてご活躍の小宮 由(ゆう)氏を息子に持ち、幼い頃からはもとより、大人になって仕事として、母として常に本に親しんできました。
東京の出版社で働いていた経験を生かし、故郷である熊本へ夫と戻り、児童書専門書店「竹とんぼ」を始められました。
最初は水前寺で営んでいらっしゃいましたが、車でお出でいただくお客さまのためにもっと広い駐車場を、と追い求め続け、たどり着いたのが現在の西原村です。
始めた当初の40年前(いまの西原村は29年目)は、児童書専門の書店なんて経営が難しい、馬鹿げていると周囲からいわれ、実際、経営は大変で、生活のやり繰りさえ困難だったそうです。子どもたちへ良書を届けたいという想いだけで乗り越えてこられました。
そして、やっと、いま、時代が追いついてきました。
冒頭でも紹介したように「奇跡の本屋」といわれる所以はそこにあります。
書店を営む傍ら、書評家の顔もお持ちで、新聞や雑誌で子どもの本の紹介も数多く手掛けていらっしゃいます。
そのため、店内には翻訳ものの絵本を中心とした子供が読みやすい本が多数並んでいます。
また、店内には児童書だけではなく、海外の名作やドキュメントなど学生でも読める本も取り揃えられています。
今回、小宮さんに「大学生にぜひ読んでほしい本」を7冊すすめていただきました。
大学生にぜひ読んでほしいおすすめ本7選
1.『せいめいのれきし』
バージニア・リー・バートン (著, イラスト)、まなべ まこと (監修), いしい ももこ (翻訳)[岩波書店] |
生命が地球上に生まれてから今までの歴史が絵本としてまとめられている一冊。
2.『ちいさいおうち』
バージニア・リー・バートン (著, イラスト)、いしい ももこ (翻訳)[岩波書店] |
時の流れとともに移りゆく風景を詩情豊かな文章と美しい絵で見事に描き出されています。
3.『イワンの馬鹿』
レフ・トルストイ (著)、ハンス・フィッシャー (イラスト)、小宮 由 (翻訳)[アノニマ・スタジオ] |
楠緒さんの次男 小宮 由氏による翻訳。装丁も秀逸。
4.『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
ブレイディみかこ (著)[新潮社] |
世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描くノンフィクション。最近、文庫化も。
5.『夜と霧』
V.E.フランクル (著), 霜山 徳爾 (翻訳)[みすず書房] |
ユダヤ人としてアウシュヴィッツに囚われ、奇蹟的に生還した著者の体験記録。
6.『あふれでたのはやさしさだった』
寮 美千子 (著)[西日本出版社] |
絵本を読み、演じる。詩を作り、声を掛け合う。奈良少年刑務所で行われていた「物語の教室」。
7.『子どもたちの階級闘争』
ブレイディみかこ (著)[みすず書房] |
イギリスの底辺階級の子どもたちのことが書かれている一冊。
まとめ
今回紹介いただいたのは、成長したからこそ気づく絵本の魅力、読み継がれる名作の普遍性、そして現代社会の実態から分かる世界の課題など、学生の“いま”だから読んでほしい名著ばかり。
まずは気になった本から読み始めてみてはいかがでしょうか。
さらにもっと本とふれあってみたい人は、ぜひ『竹とんぼ』に立ち寄ってみてください。
店主を“楠緒さん”と紹介しているのをお気づきでしょうか?
お話を聞くと、店長でも、小宮さんでもなく、つい“楠緒さん”とお呼びしたくなるくらい朗らかで、聡明で、凛とした自分の考えを持つ女性でした。そして、年齢を重ねていながら、人としての若々しさとチカラをお持ちでいらっしゃいました。
この春からはご長男夫妻が書店を引き継ぎ、切り盛りしていらっしゃいます。新店主も豊富な絵本の知識をお持ちです。
小鳥のさえずりや草花に囲まれた小さな児童書専門書店は、里山にぽつんとあります。これまでと違ったシチュエーションでの本との出会いも新鮮です。
小さい頃に読んだ絵本や世界の名作に改めてふれて、そこから読書を始めるのもひとつの手ではないでしょうか?
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